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信託の歴史
1 信託とは
信託という制度は簡単に言うなら,一定のルール設定をしたうえで自己の財産を信頼できる者に託して,それを自分や誰かのために管理,運用してもらう,という制度です。
2 信託の起源
起源については諸説ありますが,古くは中世のイギリスにおいて制度としての運用が始まり,以来英米を中心に発展してきた制度です。
日本においては信託は明治時代後期にはじめて導入された制度ですが,大正時代に信託法,信託業法の制定を経て本格的な運用がなされるようになりました。
3 日本における信託
信託,と一言に言ってもその内容は様々ですが大きく分類すれば商事信託と民事信託の二つに分けられます。
それぞれ信託法では主に民事信託について,信託業法では主に商事信託について定められています。
旧来の日本の社会においては,自己の財産を自分に代わって専門的な知識や経験を有する人に運用してもらおう,という商事信託を中心とした使い方が一般的でしたが,今日においては,自己の財産を自分で管理できなくなる場合に備えて,または自分の死後も自己の財産を有効に活用してもらおうという民事信託の利用が徐々に増えつつあります。
4 信託の利用の増加
今日民事信託の利用が増加傾向にある背景には,近年の信託法の改正が影響しています。
信託法は制定からおよそ80年,実質的な改正はされてきませんでしたが,平成18年12月に現代の社会,経済情勢に併せて,より利用しやすい制度となるべく大規模な改正がなされました(平成19年9月より施行)。
現在の日本の社会は超高齢社会と言われて久しく,その対策として成年後見制度,任意後見制度等もこれまでに導入されていますが,より柔軟な対応を可能にする制度として新信託制度は大きな役割を果たすべく期待されています。
5 新しい信託
また「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」などこれまでになかった新たな試みがいくつも導入されており,相続や税金への対策の面からも注目すべき点が多く見られます。
古くからある信託と言う制度ですが,大規模な改正を経て刷新された今,制度としての大きな転換点を迎えています。